女二十一人の集団リンチ(8)

八章

 女巡査長の西澤奈緒美が、俺の目の前に書類を広げ、サインするようにせまった。
 女たち全員の険悪な視線が、周囲から俺の全身をつらぬいていた。

 「ほら、ここまで来たら、もう弁解しても無駄だろ。せめて男らしく、自分の罪を認めなさい」
 女巡査長が、俺の手にボールペンをにぎらせた。

 俺はとっさにペンを投げ、俺の罪をうたい上げてある調書を破り捨てた。
 しまった!そこまですることはなかったと後悔するのも後のまつりで、女たちは騒然となり、ブーイングの大合唱が起きた。

 西澤奈緒美と榎本美沙子の二人が、俺の両腕をつかんで立ち上がらせ、部屋の外に連れて行った。
 廊下を歩いてすぐのところに女性用トイレがあり、そこの車イスでも入れる大きな個室の中に、俺を投げ入れる。
 もちろん、他の女たちも後からつづいて女子トイレに入ってきており、俺を逃がさないよう厳重に包囲している。

 俺の目の前には、ウォッシュレットつきの洋式便器が口を開いていた。
 女巡査長の西澤奈緒美と水谷綾子、飯尾絵美子などの主婦たちが協力して俺の肩を押さえ、榎本美沙子が俺の頭髪をつかんで便器の中に顔を押し込んだ。

 女子高生のゆかりが、大人たちにうながされて、便器に水を流す。
 たちまち冷たい水があふれ、俺の顔は便器の水の中に沈んだ。

 ガホ・・・・・・。ごぼごぼごぼ・・・・・・。

 俺は大量の水を口と鼻で飲まされ、ようやく水が引いて一呼吸したかと思うと、間髪入れず、今度は秦野麻里がレバーを引いて水を流した。

 水流が俺の気管を犯し、俺は水中で咳をして、さらに大量の便所水を飲む羽目になった。
 西澤奈緒美が背中を抱いて、俺を便器から助け起こす。
 俺の顔は便所水と、涙と、鼻汁でぐしゃぐしゃになり、何人かの女が、それを見て、いい気味だと笑った。

 「おい、さっきのは、書類破り捨てて、どういう意味なんだよ」
 西澤奈緒美が、俺の背中を蹴飛ばした。
 俺はトイレのタイルの上に、べちゃっと無様に転んだ。

 「まさか、罪を認めないっていうんじゃないでしょうね」
 怒れる母親の水谷綾子が、俺の髪の毛をわしづかみにし、強引に顔を上げさせた。
 「えッ、どうなのよ!認めるのか、認めないのか!!」

 ゆ、許して下さい・・・・・・。ぼ、僕は、女の子にイタズラなんて・・・・・・。

 その瞬間、女巡査長は、また俺の顔を便器の中に叩き込んだ。

 ゆ、許して!や、やめて・・・・・・。助けて。
 俺は陸に上げられた亀のように、両手をバタバタと暴れさせた。
 だが、水谷綾子は容赦なく水を流した。

 俺が逃れようとして上体をよじると、だれかが足で俺の後頭部をふみつけ、ぐいっと便器の奥深くに押し込んだ。
 今度は息もつかせてもらえずに、連続して二回、三回と水が流されていく・・・・・・。
 逆流した水が便器からあふれ出し、俺の上半身はずぶ濡れになった。

 やがて顔を上げることが許されると、俺は便器に向かって、ゲーゲー吐いた。
 鼻水と涙が同時にあふれた。

 榎本美沙子と西澤奈緒美の二人が、水を吸って重くなった俺のシャツを剥ぎ取り、上半身を裸にした。

 「おい水」
 と言って、西澤奈緒美が、手洗い場所からホースをのばし、冷たい水を俺の頭にそそいだ。
 「どうだ?ちっとは、頭も冷えて反省したかよ」

 「あんたみたいなひ弱な男が、あたしたちに反抗すると、どういう目に遭うのか。これから教室に戻って、じっくりと教えてやるわ」
 そう言って榎本美沙子は、鳥肌をたてて震える俺の身体に手をのばし、乳首を思いきりつねり上げた。

 そうして女たちは、俺を引きずるようにして、もとの取調室に連れ戻した。

 榎本美沙子が予告した通り、取調室では、厳しいしごきが待っていた。
 総勢十七人の女が俺を取り囲み、その女の輪の中で、女巡査長の西澤奈緒美が、もはやすっかり抵抗する気力もなくした俺を、いいように小突きまわした。

 「おーらッ!どうした!?男だろう。遠慮せずにかかってこいよ!なんだ、男のくせに、女のあたし一人にやられっぱなしでいいのか!」
 女巡査長が、竹刀を片手に、俺の背中を蹴りながら言った。

 まわりを取りまく十六人が、子供から大人まで、女性警官に黄色い声援を送る。

 「情けないわねえ。男でしょ。なによ、そのざまは!」
 「ま、幼い女の子に痴漢するような男なんて、こんなもんよ」
 「そりゃあ言えてるわ。あはははは」

 「それーーっ!!やっちゃえーー!!」
 「あはは!逃げまわってるわ!弱いわねえ」

 「おらおらッ!どうしたの!あんた、女にここまでやられて恥ずかしくないのか!ポコチンついてんだろ」
 女巡査長が言った。

 彼女は俺を床の上に蹴り倒し、四の字がためみたいなプロレスの技をかけた。

 ぐあ・・・・・・。いててててて!くそっ、やめろ・・・・・・!!

 「ホホホ!やめてほしかったら、自力で脱出したらどう?男でしょう?」
 主婦の飯尾絵美子が、俺の顔の前まで来てからかった。

 彼女たちは普段は男女差別に激しく異を唱えるくせに、こういうときになると、やたらと“男”を持ち出した。
 まったく女の思考というのは矛盾している。だが、もちろんそんな反論をしている余裕なんてなかった。

 女巡査長の西澤奈緒美が、プロレス技の体勢から、俺の股の間にブーツをすべり込ませた。
 そして、ペダルかなにかを踏みつけるように、軽やかなリズムをとりながら、ぐい、ぐいっと、足の裏で俺の股を攻撃した。

 「デンキアンマーの刑!!」
 女子高生のだれかが言った。
 「キンタマつぶれろー」

 女子高生の四人組は大はしゃぎをし、床に背中をつけて寝かされている俺の周囲を動きまわった。

 俺は苦しさよりも、腹立たしさの方がまさり、せいいっぱいの大声で、下から彼女たちをどやしつけた。

 ふざけるのもいいかげんにしろ!ブス。短いスカートで走りまわりやがって、パンツ見えてるんだよ、この馬鹿!!消えちまえ!!

 だが、そんなことでひるむような彼女たちではなかった。

 「なあによ?あんた、そんなこと言える身分だと思ってるの」
 女子高生のゆかりがからかった。

 彼女は大股を開いて、俺の裸の胸に、どかっと腰を下ろした。
 ミニスカートのすき間からパンツが見えることなど、おかまいなし・・・・・・である。
 「痴漢のお兄さん。さっきは、よくもやってくれたわねえ・・・・・・。さ、みんな!」

 リーダー格のゆかりが、言いながら俺の頬をビンタすると、さとみ、レイナ、マユの三人も、よし来た!とばかりいっせいに俺の顔のまわりに集まり、ビンタをしたり、鼻をつまんだり、髪の毛を引っぱって頭を持ち上げては急に手を放して頭を床に叩きつけたり、むき出しの乳首をつねったり・・・・・・やりたい放題をはじめた。

 くそっ!!ちきしょーッ!!!お、お前ら、覚えてろよ。

 だが、女巡査長によって下半身を固定され、身動き一つできない俺がいくら叫んだところで、不良女子高生たちは面白がるだけである。

 やがて俺の胸の上に乗っかっているゆかりを除いた三人が、女巡査長から俺の下半身を受け取り、代わる代わる“デンキアンマーの刑”・・・・・・とやらをはじめた。

 ぐはっ・・・・・・。く、か、ぐ、け、ご・・・・・・。く、くそ・・・・・・。や、やめろぉ・・・・・・。

 俺が抵抗しようとすると、女巡査長がそうはさせじとばかり、俺の両肩を床に押さえつけた。女子高生たちは、まるで手加減というものを知らず、滅茶苦茶な勢いで、男の急所に攻撃を加えつづけた。

 俺は、もはやどうにでもなれと、最後のありったけの力をふりしぼり、暴れだした。

 女性警官のスカートを引っぱって倒し、女子高生のゆかりの手に噛みついたあと、他の女子高生数人を蹴飛ばして立ち上がった。
 たちまち大混乱になり、元ヤンキーの水谷綾子やスポーツ・ウーマンの秦野麻里らも加わり、俺は完全に無抵抗になるまで、彼女たちからボコボコにされてしまった。

 俺は鼻と口から血を流していた。
 刺激が強すぎたせいか、飯尾絵美子が連れている二人の幼い女の子が泣きだした。

 「おお、ごめんなさいね。怖かったわよねえ。悪いお兄さんよねえ。でも、もうおばさんたちがやっつけておとなしくなったから大丈夫よ」
 “切りきざむ会”の秋津静穂が猫なで声を出して、少女の頭に手を乗せた。

 「サヤちゃんと、チカちゃんの好きなテレビにもあったでしょ?“月の女神に代わってお仕置きよ”って、 あれと同じよ。べつに何も怖がることはないわ」
 母親の飯尾絵美子がしゃがみ込んで言うと、小学校低学年の姉と、まだ入学前と思える 幼い妹の二人はうなずき、それ以降は、俺のことをアニメの悪役を見るような、好奇に満ちた 目で眺めるようになった。

 女子高生の四人組が、俺との乱闘でできたアザをさすりながら近づいて来て、もう一度、俺に暴行を加えはじめた。
 中でも小柄なマユの怪我はひどく、ミニスカートからのぞいた太ももには、大きな青アザができてしまっていた。
 「こんな風にして!どうしてくれんのよ。ええッ!?」

 も、もう、やめてくれ。俺は懇願した。これ以上やられたら、死んでしまう。
 ・・・・・・お願いです。

 だが、女子高生たちは弱気な俺の態度にむしろ怒りを爆発させ、無抵抗な俺の背や腹に何発も蹴りを入れた。

 俺はこのひどいいじめから逃げるために、嘘でもいいから自白してしまおうと思った。
 それで言った。

 や、やめて下さい・・・・・・。本当のことを言います。ぼ、僕が犯人です。もう自白するから、 これ以上しないで下さい。

 俺は、近くにいた並木瑞恵にすがりついた。本当の被害者である彼女が許してくれれば、少しは女たちのあつかい方も改善されると、淡い期待をいだいていたのである。
 助けて下さい・・・・・・。

 だが、元来おとなしくて、あまり自分の意志をしめさない性格の彼女は、迷惑そうに顔をしかめただけだった。

 女子高生のゆかりが嗜虐的に目を細めて、あわれな俺を見下ろして言った。
 「ふふ・・・・とうとう白状したわね。それじゃ、あたしたちに暴力ふるったことも、みんな認めるってことね」

 そ、それは・・・・・・。

 「どうなのよッ」
 耳につけたピアスをチャラチャラいわせながら、さとみが言った。
 「わたしの胸、さわったわよねえ」

 「マユのパンティに手つっ込んだの認めるわけね」
 金髪のレイナが、意地悪く念押しした。

 俺は半べそをかきながら、もう一度、この様子をだまって見守っている大人の女たちに弁明した。
 ぼ、僕は、本当に、この女子高生たちが言うようなことは、何もしてないんです。
 し、信じて下さい。こいつら、僕をいじめて、喜んでるだけなんです。本当です。
 信じて下さい・・・・・・。

 「それじゃ、あんたは何を認めるっていうの」
 榎本美沙子が、色の濃いファッショングラスの奥で目を光らせた。

 「水谷早紀ちゃんを襲ったことは認めるの」
 「どうなの!」
 「あたしたちの、下着は!?」

 それ以上答えずに、俺は声を押さえて、一人で泣きつづけた。
 女たちは、しばらくの間、そんな俺の様子をうっそりと見守っていた。

 「こりゃあ、ダメだね」
 女巡査長の西澤奈緒美が、床に竹刀をついて、嘆息した。
 「泣きゃあ、どうにかなると思ってんなら、大間違いなんだよ。ったく、二十六にもなって、ガキだな」

 「どう・・・・・・するんですか?」
 女のだれかが尋ねた。

 「どうするって、こんな態度じゃ、無理やりにでも口割らせるより仕方ないでしょう」
 榎本美沙子が苦笑しながら、みっともなく泣きつづける俺の肩に手を置いた。

 「あんた、本当にいい加減にしないと、痛い目に遭うよ。あたしらの活動は、すでに法的な手続きがとってあるから、あんたの態度が悪けりゃ、どうにでも処分できるんだよ」
 女巡査長が言った。

 「一昨年の秋に成立した、“男子懲罰法”知ってるわよね?」
 そう言って、榎本美沙子はさっき俺がやぶいたのと同じ書類をもう一度取り出した。

 「さ、これ以上、痛い目に遭いたくなければ、今度こそこれにサインしなさい」
 榎本美沙子がふたたび俺にボールペンをにぎらせた。

 「ほら、さっさと書けよ」
 「なに、もたもたしてンだよ」
 「自分の名前の書き方も忘れたのか!」
 女子高生たちが口々にののしった。

 俺にはもはや抵抗する意志も、力もないが、かといって女たちの一方的な証言をのむことはできない。
 俺はその場で土下座をした。

 ひたいを床にこすりつけ、何度も何度も謝りつづけた。

 女たちのリアクションが少しでもあれば、まだ俺は救われたのだが、女たち全員がしめし合わせるでもなく、ただ黙っているので、土下座すればするほど、俺のみじめさだけがどんどん増していった。

 「いくら手をついて謝られても・・・・・・ねえ」
 やがて、怒れる母親の水谷綾子が口を開いた。

 「そうよ。これは女性にとっては、口先だけの謝罪ですませる問題ではないわ」
 「本当よ」
 「そうだわ」
 「そうよ」
 飯尾絵美子、並木瑞恵、秦野麻里らの女が口々に賛同した。

 「ほら、お姉さま方はみんな、それぐらいの謝罪じゃ許せないってよ。・・・・・・無駄なことはやめて、立ちなさい」
 女巡査長が俺の腕をつかんで、立ち上がらせた。

 「あたしたちが要求してるのは、すべての罪を認めたうえでの謝罪。無条件降伏だけよ」
 榎本美沙子が言った。
 彼女はファッショングラスを外し、俺の裸の上体にいくつもできた赤あざや青あざを、じっとりとからむような目で眺めながら、

 「どうやったら、ぜんぶ正直に言えるようになるかしら・・・・・・?わたしたちにしても、あんたが反発するたびに、なだめたり、すかしたりするほど暇じゃないのよ」

 「あんた、コインランドリーではお姉さま方に、身体検査してもらったろう・・・・・・? そういえば、あたしの検査はまだだったな。言っておくが、あたしは、ここにいるお姉さまたちとは違って、優しくないからな。パンツ一丁なんて、中途半端なことはしないで、素っ裸にして取り調べるぞ」
 女巡査長が言った。

 「女が大勢見てる前で、スッポンポンにしてあげてもいいのよ・・・・・・。それが嫌なら、 さっさと全部白状すること!余計な手間ばかりかけさせるんじゃないよ」
 榎本美沙子が言った。

 「うわ、オンナの中に男ひとりで、すっぽんぽん・・・そりゃあ、恥ずかしいわねぇ」
 飯尾絵美子がくすくす笑いながら言った。

 ようするに“身体検査”などというのは名目に過ぎず、彼女らにしてみれば、なかなか白状しない俺を裸にして、羞恥心を利用して、無理やりにでも自白させてしまえば、それでOKということなのだ。
 女たちのやり方にはいきどおりを覚えたが、だからといって俺には何の抵抗するもできない。

 「あんた、水谷早紀ちゃんの前で出したんだって?」
 秦野麻里が意地悪い口調で言った。
 「早紀ちゃんに無理やり見せておいて、あたしたちには見せられない・・・・・・なんてこと、ないわよねえ」

 俺は、最初彼女の言っている意味が、よく分からなかった。
 分かってから、仰天した。

 彼女は、小学生の水谷早紀を襲ったという痴漢(断じて、この俺ではなく、人違いもはなはだしいのだが)が、少女の前で、ズボンを脱いで性器を露出させたことを言っているのだ。

 「どうしたのよ?あなた、本当は見せたくて仕方がないんじゃないの?だったら、あたしたちが見てあげるから、さっさと出してごらんよ」
 秦野麻里が、すねたような笑いを浮かべて言った。

 「あはは・・・・・・そりゃ、そうだわ。嫌がる女の子にわざわざ見せなくても、わたしたちでよければ、いくらでも見物してやるよ」
 水谷綾子が言った。

 他に、主婦の飯尾絵美子や、スーパーの女課長杉浦咲子、オールドミスのOL寺内朋子など、三十代、四十代の女たちが、そんなことはたいしたことじゃないと ばかり、わざと大きな賛同の相づちをうった。

 「ほら、どうしたの!見せるのが好きなら、あたしらが品評会してやるから、脱いでごらんよ」
 「なんなら、わたしたちが手伝って脱がしてあげようか」
 「今ごろ恥ずかしいなんて言わさないわよ」
 「ズボン、脱ぎなさい」

 やがて、小学生の娘まで含めた十七人の女が、いっせいに声をあげて、「脱ぎなさい!」 「脱げ!!」「脱げったら、脱げ!!」の大合唱になった。
 むろん、だからといって、こんな部屋で大勢の女に見られながら、わざわざ自分で裸になる馬鹿はいない。

 「フフ・・・・・・さ、どうしましょうか?みんな、あんたのヌードに興味があるそうよ」
 榎本美沙子が言った。

 や、やめてくれ・・・・・・こんな冗談・・・。
 俺はカラカラに渇いたのどから、小さな声をしぼり出した。

 「あら、冗句なんかじゃないわよ」
 秦野麻里が言った。テニスで鍛えた身体で、俺を捕まえようとする。

 女たちの輪が小さくなり、まわりから何本もの白い手細い手が、俺の身体にのびてきた。

 俺は教室の出口までかろうじて逃げ、扉を開けようとして鍵がかかっていることにはじめて気がつき、その場で女たちの波にのまれた。

 ぎゃあーーーーっ!!嫌だあぁぁぁぁ。

 俺は奇声を上げて激しく抵抗した。
 そのため、何人かの女が顔などを蹴られて負傷した。
 だが、しょせんは多勢に無勢。榎本美沙子ら、“切りきざむ会”の女たちが指図し、女が集団の力を発揮すれば、もはやどうあがいても勝ち目はない。

 女巡査長の西澤奈緒美が足払いをかけて、俺の身体を床に転倒させると、女たちが次々に俺の胴にまたがった。

 こうして大暴れする俺の身体をまずしっかりと取り押さえ、それからじっくりと解剖してやろうというのが、彼女たちの作戦である。

 「よおっし!これでもう動けないわよ!!」
 だれだか分からないが、見えないところにいる女が、高らかに俺の負けを宣言した。

 この騒ぎの最中に、暴れる俺の足に蹴られたりして、顔や腕などにあざを作った女たちが、仕返し!とばかり、攻撃を加えてきた。
 特に、杉浦咲子と、若いOLの萩原貴子の怪我がひどいようだった。
 萩原貴子などは、俺に手を噛まれたと言って、ひどく憤慨していた。

 「よくも!こんなにあざにして!!」
 杉浦咲子が、紺色のスーツのスカートをめくり、破れたストッキングと、そこにできたあざを見せて言った。

  ぱぁん!ぱん!!と、彼女は俺の顔を叩き、
 「いい気味だわ。今から素っ裸に剥いて、嫌というほど辱めてやる」
 化粧のとけだした肌を高揚させて、女課長は言った。

 二十一歳の萩原貴子は、若い女性らしく、俺のことをさも汚いものを見るような、 ものすごく軽蔑した目を向けるだけで、触ろうとしなかった。
 そうして、いよいよカイボウのはじまりである。
 「じゃじゃじゃじゃ、じゃじゃーーん」とばかり、明らかにはしゃいでいる女たちの視線が、俺の下半身に集まった。

 ここまで来たら、逆にさっさと脱がしてしまえばいいのに、まず嫐るように、榎本美沙子がGパンのチャックだけを全開にした。

 俺はその屈辱に耐えきれず、今一度、教室の天井に向かって、吠えた。

 ちっくしょーー!!お前ら、覚えてやがれ!!

 それが、よくあるアニメの悪役が言うセリフにでも聞こえたのか、飯尾絵美子の二人の子供がけらけらと笑った。
 それにつられて、母親たちもげらげらと笑った。

 榎本美沙子が、Gパンのベルトを抜き取った。
 何人かの女たちが協力して、足元までズボンを引きずり下ろす。
 いよいよ最後の一枚に手がかかった。

 今回の唯一本当の“被害者”である、並木瑞恵がその役目を受け持った。
 彼女ははじめ躊躇していたが、女たちに励まされて、娘の美穂とともに俺のブリーフをしっかりとつかんだ。

 「ほおら、オチンチン丸出しの刑だよ」
 女巡査長の西澤奈緒美が、わざと屈辱的な言葉をあびせた。
 それと同時に、並木瑞恵と美穂の母娘が、さっと残る一枚の布きれをめくり下ろした。
 女たちの歓声が上がる。

 榎本美沙子が脱がしたてのブリーフを高くかかげて、戦利品のように、指先でくるくるとまわした。

 女たちは最後にソックスを脱がし、ご丁寧に腕時計まで外して、俺は完全に生まれたままの丸裸にされてしまった。

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