九章
女たちが、さっそく俺のヌードを観賞しはじめた。
俺の股はこじ開けられ、まるで女が子供を産むときみたいな恥ずかしいポーズをとらされた。
性器はもちろんのこと、お尻の穴まで完璧にさらしものである。
こんなに大勢の女に、力ずくで床に押し倒され、下半身をのぞき込まれるのは、まるで彼女たちから集団レイプされているみたいだった。
秋津静穂が俺の顔をのぞいて、ハイあーんして、と言った。
拒否すれば殴られるかもしれないので、俺は素直に応じた。
「はい、いい子ね」
秋津静穂は言いながら、俺の口の中に今脱がしたばかりのブリーフを押し込んだ。
俺が今にも泣き叫びそうだったので、先手を打って封じたのである。
俺は自分のパンツをくわえさせられて、口をきけないまま、しくしくと泣きはじめた。
むろん、そんなことで許してくれるような甘い女たちではない。
女巡査長の西澤奈緒美は、ピシッと軽い音をたてて俺の頬を叩き、これぐらいではだれも同情なんかしないということを知らしめた。
女たちの裸体鑑賞は、しばらくつづいた。
彼女たちは、恥辱にゆがんだ俺の顔と、あらわになった生殖器とを何度も見比べては、残酷な言葉を投げつけた。
「フフフ・・・・・・あんたが見せたくて仕方がなかったモノは、ずいぶんと可愛いねえ」
女巡査長がそう言って、羞恥のあまり萎縮した俺の性器を、竹刀でつついた。
「あら、緊張してるのね。ずいぶん、ちぢんじゃってるみたいよ」
ジャージ姿の秦野麻里が言った。
「フフ・・・・・・小さいわねえ。これじゃまるで、小学生のオチンチンみたい」
主婦の飯尾絵美子が、おどけた調子で言い、女たちの笑いをさそった。
「でも、こんな大勢の女に押さえつけられて、からだ中調べられるのって、どんな気分なのかな?」
女子高生のゆかりが、わざとらしく俺の目をのぞいて言った。
「恥ずかしくて、震えてんのよ!」
秦野麻里が、ねえ、と俺に同意を求めた。
「あらぁ、女の子をレイプしようとしたぐらいですもの。こんなの恥ずかしいうちに入らないわよねえ」
怒れる母親の水谷綾子が、少し離れた場所から、俺の顔を見下ろして言った。
「ねえ、分かってんでしょうね?あんたにイタズラされた女の子の気持ちは、まだまだこんなもんじゃあないのよ」
「そうよ!反省しなさい」
OLの寺内朋子が言い、俺の頬を叩いた。
「ほーら、わたしたちが押さえてるから、あなたたちもじっくりと観察してやりなさい」
女課長の杉浦咲子が言って、水谷早紀、並木美穂の二人の少女を、前に押し出した。
「どう?こうなってしまえば、男なんてちっとも怖いもんじゃないでしょ?もしも暴れたりしたら・・・・・・こうして、こう、やっつけてしまえばいいのよ!」
杉浦咲子が、ハイヒールで俺の腹部を踏みにじった。
「ね?あんたたちも、やってご覧なさい」
しかし、さすがに二人の小学生は躊躇していた。
すると、いきなりOLの萩原貴子が、厚底のブーツで俺の腹をふんづけた。
ぐむーーっ!!!
だがその悲鳴は、口の中のブリーフに吸収されて声にならない。
そこへ、別の角度から、今度は正確に俺の股間をねらってもう一撃!
水谷綾子のサンダルが、無防備な男の急所をとらえた。
母親がやるのを見て、小学生の水谷早紀もズックで俺の下腹部を蹴りはじめた。
この母娘は元もと強気な性格をしていたが、それにしても小学生の早紀が、少し前まで泣いていたのは嘘みたいな攻撃ぶりだった。
女子高生のレイナと里美、それにマユの三人が、俺の両足をかかえて尻を浮き上がらせた。
そして、俺の股間に目がけて、足でねらいを定めた。
「ほーら、またデンキアンマーだよー」
ケタケタと明るく笑いながら、彼女たちはそれを実行した。
ぐわははあああっ!!
男の急所をくり返し女たちに攻撃されて、俺は悶絶した。
「こいつ、気ぃ失いやがった」
「情けねえなあ」
「起こしなさい」
と、秋津静穂が命じた。
「男が自白しないうちに、あまり痛めつけてはいけません」
「まずは、この男に自分の罪を認めさせるのが先ね」
榎本美沙子が言って、俺の上半身を抱き起こした。
「ちょっと、水持ってきて」
女子高生のゆかりが、やかんに水を入れて戻ってきた。
榎本美沙子はそれを受け取ると、気絶している俺の口からブリーフを取り除き、そして無理やり水を流し込んだ。
げ、げほ。げーほ、げほげほげほ。
俺は目を覚まし、水を吐きだした。
榎本美沙子は、やかんに残る水を、俺の頭から全身にくまなく浴びせかけた。
「どう?気分は」
やかんを放り捨て、彼女は言った。
「そろそろ、白状する気になったんじゃない」
す、する。白状します・・・・・・。
俺は近くにいた女巡査長の紺色のスカートにすがりついた。
な、なんでも言うことをききます。だから、これ以上ひどいことをしないで下さい・・・・・・。
「いいわ。それじゃ、今度こそこれにサイン。そしたら、全員に土下座するのよ」
「フン、手間ばっかりかけさせんじゃないよ。最初から素直に謝っとけば、皮かぶったチンポ見られ ないですんだのにな!」
女巡査長が言った。
何人かの女が、フフフフ、と笑う。
俺は無言で、女巡査長が手渡した紙に、自分の名前を書いた。
榎本美沙子が俺の左手をつかみ、朱肉をつけて拇印を押した。
こうして、とうとう俺は女たちが言う罪をぜんぶ、自分が本当にやったこととして認めさせられてしまったのである。
俺の罪が確定すると、女巡査長はただちにそれを『ウィメンズクラブ・中央司令センター』にファックス送信した。
あとは、俺のアパートを強制捜査している別働隊の帰りを待たねばならないが、一応はこれで俺の取り調べは一段落、ということになった。
かわいたタオルが与えられ、俺は水で濡れた身体をぬぐうことが許された。
女巡査長が、俺のブリーフを投げて寄こした。
しかし、今までの女たちの攻撃によって、睾丸がすっかり腫れてしまっていたので、ブリーフを 身に着けるのはむしろ苦痛だった。
すると秦野麻里は、
「なにもたもたしてんのよ!さっさとパンツはきなさいよ、イヤらしいわね!」
と、理不尽な命令をした。
俺はさっきからしきりと尿意をもよおしていたので、トイレに行きたいと申し出たが、それは却下された。
ここには女性用のトイレしかない、というのが拒否の理由である。
「それじゃ、とりあえず土下座してもらいましょうか」
榎本美沙子が言った。
「大きな声で!心を込めて、女性一人一人にちゃんと謝罪するんだよ」
「声が小さかったら、何度でもやり直しさせるからね。被害を受けた女性全員が納得するまで、何時間でも土下座させるわよ」
「自分がやったこと、順番に全部言うのよ。そして、その一つ、一つを謝ること!」
女たちが口々に言った。
俺は彼女たちの言うとおり、その場で這いつくばって謝罪を開始した。
ど、どうかお許し下さい。わ、わたしはみなさんの下着を盗みました。
「ちょっと待って!」
と、榎本美沙子が鋭く口をはさんだ。
「お許し下さい、じゃないでしょう!許すか、許さないかはあたしたちが決めること。 あんたは、まずひたすら土下座するのが先よ。はい、それじゃ、もう一回最初からね」
も、申し訳ありません・・・・・・。わたしが下着を盗んだ犯人です。わたしは・・・・・・。
「それじゃダメよ。いつ、だれの下着を盗んだのか!そんなアバウトじゃなくて、一人一人にきちんと断って謝るのよ」
秦野麻里が言った。
申し訳ありませんでした。・・・・・・わ、わたしは、今日、貴女のブラジャーを盗みました。 そ、それから、女の子のパンツも・・・・・・。
「なんだって!聞こえないよ、もっと大きな声で!」
と、女巡査長西澤奈緒美。
お、女の子のパンツを、わ、わたしが盗みました。ご、ごめんなさい。
「声が小さいって言ってんだよ。ったく!チンポコの小さい男は、声も小さいんだねえ」
女たちが爆笑した。
屈辱に肩を震わせながら、俺の謝罪はつづいた。
わ、わたしは、そ、そちらの、じょ、女子、女子高生に、暴力を、ふ、ふるいました・・・・・・。
「それじゃあダメね。どんな暴力をふるったっていうの!」
生意気なゆかりが、ニヤニヤ笑いを浮かべて、言った。
わ、わたしは、貴女の、その、貴女の・・・・・・。
「あなたの、なんなのよ!言ってごらんなさいよ」
わたしは、貴女の、胸を、触りました。
「ああら、そうだったかしらねえ。わたしは、あんたにそんなことされた覚えはなかったけど・・・・・・ま、あんたがそう言うなら、きっとそうなんでしょうねえ」
この野郎。と、俺は腹の中で思ったが、言い返すことはできない。
「それから?あんた、レイナたちにも、なにかやったんじゃないの」
わ、わたしは、その、貴女の胸を触って、それから、そっちの人のスカートを、その、めくりました。そ、それから・・・・・・。
「わたしのことを、レイプしようとしたわね」
女子高生のさとみが言った。意地の悪い顔をしていた。
「どうしたのよ。ここに来て、まだ自分の罪を隠すつもり」
「さとみに謝れよ」
「ほらッ、土下座するんだろ!」
「未成年者レイプ!」
女子高生たちが口々に言った。
「どうした?謝れないなら、謝罪する意志がないものと見なすぞ」
女巡査長が言った。
「大学出のお兄さんは、髪の毛茶色くして、肌を焼いた女子高生相手に、謝罪なんて馬鹿らしいと思っているのよ」
不良じみた外見に似合わず、意外と理論家らしいゆかりが、腕組みして言った。
「こりゃあ、もう一回、婦警さんに頼んで、やっつけてもらうしかないな」
「パンツ脱がせ!パンツ!」
よせっ!
調子に乗って群がってくる女子高生たちを軽く手ではたいて、俺は言った。
わ、悪かったよ。お前たちのことを、レイプしようとして。もう、二度としないよ。許せ。
「レイプしようとした、じゃなくて、お前しただろ!」
と、レイナ。
「口のきき方がなってないわねえ」
榎本美沙子が口を出した。
「“二度としないよ許せっ”て、なによそれ。ぜんぜん謝ってないじゃないの」
「これは、もう一回、お仕置きかね?」
女巡査長が言って、竹刀を俺の身体に突きつけた。
「おい、どうなんだよ。謝る気が、あるのか、ないのか!」
「この男はダメよ」
オールドブスの寺内朋子が言った。
「いくら土下座されても、わたしは許せないわ」
「わたしも、許す気は起きないわよ」
と、主婦の水谷綾子が言った。
「さっきから、ちっとも誠意が感じられないじゃない。これじゃ、謝っても、また後で同じことをくり返すんじゃない?」
何人もの女たちが、うんうんとうなずいて見せた。
俺は半ばやけくそ気味な気持ちになり、つい声を張り上げてしまった。
お前たち、きたねえぞ!女ばかりで団結して、勝手なことばっかり言いやがって。
だれが、お前たちみたいなガキをレイプなんてするか!馬鹿。えん罪だぞ!
「ほーらね。これが、この男の本音よ」
したり顔で水谷綾子が言い、他の女たちとうなずきあった。
「婦警さん。これじゃあ、わたしたちとしても、ちょっと、ねえ」
杉浦咲子が言うと、女たち全員が、そうよねえ、と相づちをうった。
「とうてい受け入れるわけには参りません」
お前たち、ふざけるな!
と、俺はもう一度叫んだ。
馬鹿な女が大勢集まって、なにが取り調べだ。
こんなの、ただのイジメじゃないか。
ふざけるな、女のくせに!馬鹿!!
明らかに、俺は言い過ぎてしまった。
だが、後悔する暇もなく、西澤奈緒美の竹刀が、いきなり俺の腹に突き刺さった。
「言ったわね。それだけ言ったら、覚悟はできてるんだろうね」
そう言って、彼女は俺の腕をとらえて立ち上がらせた。