「紅い薔薇の追憶」第3章

女性優位時代,CFNM小説 CFNM小説/短編

「おまえたち、許さないぞ!!こんなことして、なにがあかね流だ!!こんなのは、間違っている。女が支配する狭い世界で男女の立場を逆転させて、男を虐待して喜んでいるだけだ」

月光の中で、女たちは僕を吊し上げた。僕は、やぶれかぶれの気持ちで、言ってはならない台詞を叫んだ。

言った瞬間、激しい恐怖と後悔にさいなまれた。義母の表情を探したが、見つけることができなかった。

ハウスキーパーたちによって、かがり火が焚かれていた。義母志津絵は、炎の影から僕の様子を見守っているようだった。

「マサミチさん、あなた、今言ったこと、もう一度、言えますか?」

姉の志穂が、僕のあごをつかんだ。

「…こ、こんなの、ただの男虐めじゃないか……」

その瞬間、姉が僕のむき出しの下腹部を手で鷲づかみにした。

「ぐほふぅう!!」

革ベルトで両手首を一つにまとめられ、薔薇の屋根からロープで吊り下げられた僕は、姉のなすがままである。(ちなみに、ロープの長さは、滑車で自由自在である)

「いい度胸してるわねえ…マサミチ、あなた、10年ぶりなので、あかね流の怖さを忘れちゃった?それとも、成人したから、もう折檻されることはないと思ってた?」

「あかね流宗家のしきたりでは、男子は30歳の誕生日を迎えるまでは、母親に忠実に仕えなければならない。あなた、たしかまだ20代よね」

叔母の理絵子が、耳元でささやいた。香水と汗と酒が入り混じった女の臭気が鼻をついた。

「来年の3月で30歳よ」

妹の綾が、目を細めた。

「ふーん、マサミチ君も、もう30になるのか…それにしても、変わらないわね」

内村奈々子が正面から僕を見据えた。

「私がハウスキーパーとして、この家に来たのが18歳のとき。最初は、かわいい弟ができたくらいに思っていた。志津絵様、志穂様から、あなたの折檻を手伝うように言われたときは、正直戸惑った。でも、すぐに、これがあかね流のやり方なんだって理解した」

むき出しの乳首を、奈々子は指ではじいた。

内村奈々子

「変わらないといえば、この子のからだも、あまり変わらないねえ…」

従姉妹のノリコが、ニヤニヤ笑いしながら近づいて来た。

「んん~?たしかに背は伸びたし、ちょっとは筋肉もある。でも、あいかわらず、色白で、体毛は薄いし、何よりオチンチンが小っちゃくて、カワイイ!」

おとなの女たちが全員爆笑した。子供たちも何人かは釣られて笑った。

「どれどれ?…ほんとうだ!まるでコドモのおちんちんみたいだね」

鳥羽ゆみが、可笑しすぎてお腹をかかえるといったジェスチャーをして見せた。

「とても30の男のモノとは思えない。あなた、ひょっとして童貞?SEXしたことあるの」

理絵子が、僕の耳に甘い息を吐きかけた。

この女は、僕が大学4年のときに、東京で一人暮らしするアパートに押しかけ、一週間の滞在期間に、たぶん20回くらいSEXを強要した。からだの隅々まで(本当に隅の隅まで)舌でご奉仕することまで要求された。思い出したくないことだが、彼女は妙な性癖があり、オシッコした後の濡れた女性器で僕の顔に乗ることを好んだ。一度は、その状態で排尿したことすらあった。勃起しなくなると、無理やりシアリスを飲まされ、昼夜を問わず、行為が続けられた。そのせいで僕ば勃起不全になった。絶対に秘密だと言われた。そのことを忘れたのだろうか。

「童貞君、じゃあないわよね?あ、でも最後までしてないか(笑)」

茅ヶ崎小春が、僕の目をのぞき込んで、いたずらっぽく笑った。

「マサミチさんが飲みすぎて、意識が飛んだので、小春さんのおうちに入れてあげて、介抱したんでしょ?そしたら、抱きつかれて」

鳥羽ゆみが、いつもの鉄板ネタを披露しようとした。10代の少女たちが、興味津々という顔で、取り巻いていた。

「やめろ!!」

「叫んでもダメ。小春さん、どうなったんだっけ?」

「うふふふふふふ。マサミチくん、かわいいのよ。夢中で私のおっぱいにしゃぶりついて、まるで赤ちゃんみたいに、ずーっと、チュッチュッ、チュッチュッしていた」

「で、寝ちゃったんだっけ」

「そうよー。私も食べちゃおうかと思ったけど、寝るんだもの」

記憶のない話だった。ゆみと小春がネタを披露するたびに、少しずつ話の中身が変わった。少女たちが、汚物を見るような目で、遠巻きに僕を眺めていた。

「いやらしい男ねえ…ほんと、いやらしい!」

理絵子が不快な表情で僕を睨んだ。

「でも、じゃあ、やっぱり童貞君なんだ?」

叔母の美津子も参戦した。和服姿の彼女は妖艶に笑い、

「まさか、東京で性風俗店なんか、行ってないわよね」

「それはないでしょ」

志穂が断言した。

「もし、性風俗店なんかへ行ったことが分かったら、どういう目に遭うか…さすがに、マサミチも分かっているわよね」

志穂は、僕の下腹部に生えている毛をつかみ、何本かを指でむしり取った。

「行ってないです!!!」

僕は叫んだ。あかね流宗家の男子教育は厳しく、女性の水着写真が掲載された週刊誌やマンガ雑誌さえ絶対禁止。万が一、マスターベーションをしたことが発覚すれば、厳罰に処された。性風俗店などは、もってのほかだった。

そして、昭和時代から平成の初期ころまでは、男子が18歳になると、一族の女性たちの手で、ひそやかな“儀式”が行われ、童貞であることを捨てさせられたと聞かされていた。年齢が近い女(僕の場合であれば、おそらく従姉のノリコあたり)が中核的な“役割”を果たし、他の女たちが押さえつけるようにして、初体験をさせるのだという。幸い、僕は家を出て東京に逃れたため、“18歳の儀式”には参加していない。女たちの“童貞いじり”は、僕が儀式逃れをしていることを暗に責めているのだと思った。

「さっきの話、女性に対する性暴力、っていうことになるんじゃないですか?」

内村奈々子が言った。彼女は、どうしても僕を悪者にしたいようだ。

「あたしのおっぱいをチュッチュッしたこと?」

茅ヶ崎小春が笑う。

「うーん、まあ、たしかに最初、合意があったとは言えないかな。酔ってたせいもあると思うけど、すごい力づくで、ブラジャーをむしり取られた」

初めて聞かされる話だった。彼女は盛っているのではないかと思うが、確かめる術がない。

「それは看過できない」

姉の志穂が僕の髪をつかんだ。

「どうなの?マサミチ。本当のことを言いなさい」

「ね、ねえさん…覚えてない…ほんとうなんだ、それに小春さんが…」

「小春さんがどうしたって言うのよ。小春さんの話が間違いだって言いたい?」

鳥羽ゆみが腕組みをして睨んだ。

「覚えてないっていう言い訳も、卑怯よね」

ノリコが志穂と並んで、僕の頭髪に手を伸ばした。

「それと、さっきあなたが言ったこと、ええと、なんだっけ。“男女の立場が逆転して、男をいたぶって愉しんでいるだけ”」

「ママ。“男を虐待して喜んでいる”よ」

ノリコの娘、13歳の芽衣が、スマホを見ながら歌うように言った。

「ほら、SNSのここと、これ。こっちも。あかね流に対する悪口がたくさん書いてある」

「あーそれ、けっこう有名なアカウントですよね。女叩きが中心で、あかね流に対する誹謗中傷もたくさん出てくる」

ハウスキーパーの西島蓮が、自分のスマホ画面から、SNSを開いて見せた。

「わたしは、不愉快だからブロック済みだけど、知ってる」

いちばん若いハウスキーパーの海堀心華も同調した。

「どれどれ。ふーん…フォロワー数2万人超えか…ずいぶん、あかね流を目の敵にしているわねえ…。“あかね流なんていっても、しょせん男女の権力が逆転した場所で、女が徒党を組んで、男を虐待して喜んでるだけ”」

姉志穂がぎらりと目を光らせた。

「“女しか生まれてこない呪われた一族”とも書いてあるわ」 「“ゆがんだフェミニズム思想”だって」

志穂の長女志央里、次女沙梨菜もそれぞれスマホを見つめた。

「これ、お兄ちゃんじゃないの。いや、絶対にそうよ」

妹の綾が、一人娘の結菜とスマホを確認した。

「ち、違う……」

僕は全身から冷や汗が噴き出るのを感じていた。

「じゃあ、さっきのセリフはどうよ?ここに書いてあるのと、同じじゃない?」

女子高校生の志央里が詰めよった。

そのとき、かがり火の向こう側から、義母が現れた。彼女は、金属製の細長い道具(持ち手の部分だけ木製で、細く長い棒状の先は、六角形のヘラのような形状になっている、何に使うか不明)を持っていた。

「マサミチ、今の話は本当ですか?」

義母の志津絵はあくまで冷静。いや、冷酷というべきか。

「マサミチ、言ってごらん」

「…ゆ、許してください。さっきの発言は、本心では、ありません。撤回します」

「自分の発言に責任とれないなら、よけいな口をきくんじゃないのよ」

「……すいませんでした。分かりました」

「あんた、ちっともわかってないでしょ?」

義母の隣で姉が、むき出しの乳首を力いっぱいひねり上げた。

「いたい、痛い、痛い、痛い!!ゆるして!!」

「こいつ、なさけないわねえ」

志穂がやるのを見て、14歳の沙梨菜が寄ってきた。

「あんた、さっき、わざと私の胸にタッチしたわね」

「そ、それは、違う!…わざとじゃないんだ…信じてくれ!」

「なに?女に逆らうわけ」

沙梨菜が、志穂の真似をして、乳首に爪を立てた。

「言いなさい。マサミチ叔父さんは、まだ独身だし、わたしみたいな若い女の子が好きなんでしょう」

「……そんな……」

「イエス!以外の答えはなし!」

沙梨菜がするどい爪を、胸から脇腹まで、ざっくりと下ろした。

「いたい、痛い!!許してください…」

僕は、自分より半分の年齢の女に懇願した。

「ダメよ。ほら、じっとしなさい」

沙梨菜が背伸びをして、革ベルトをもう一段きつく締めあげた。彼女は満足そうに笑った。

従妹のノリコ
ノリコの娘、芽衣

17人の女が、僕を取り巻いていた。かがり火が、僕の白い裸体を照らし出す。

「SNSの件は、顧問弁護士から、プロバイダーの運営会社に連絡させて、犯人を捜させましょう」

ノリコが提案した。彼女はIT系のベンチャービジネスを立ち上げ、海外で活動するくらいなので、そっち方面の知識・人脈があるらしかった。

「もし、犯人が見つかったら、どういう処罰をすべきか…今から楽しみだわね」

ノリコの母の美津子が、けけけけ…と歯をむいて笑って見せた。

「…いいわ。それじゃあ、今宵はSNSの件は置いといて、小春さんへの性的暴行に焦点を当てて、追及していきたいと思いますが、みなさんどうですか」

「わたしのおっぱいを触ろうとしたことも加えて」

沙梨菜が挙手をして見せた。

「じゃ、今夜は、ふたつのおっぱい事件だね」

理絵子が野卑な声をあげて笑った。

他の女たちはあまり笑わず、冷たい目線で僕を眺めていた。

つづく

  • 志津絵(59歳) 義母。あかね流の当主。
  • ヒカコ(57歳) 志津絵の従妹で、他界した先代の娘。
  • 志穂(39歳) 姉。
  • 志央里(16歳) 志保の長女。
  • 沙梨菜(14歳) 志保の次女。
  • 綾(26歳) 唯一完全に血のつながった妹。
  • 結菜(10歳) 綾の娘。
  • 美津子(54歳) 志津絵の妹。
  • ノリコ(34歳) 美津子の娘。
  • 芽衣(13歳) ノリコの娘。
  • 理絵子(52歳) 志津絵の妹。
  • 鳥羽ゆみ(29歳) 中学時代からの友人。
  • 茉優花(7歳) 鳥羽ゆみの娘。
  • 茅ヶ崎小春(32歳) 大学の先輩。
  • 内村奈々子(37歳) ハウスキーパー取り纏め
  • 西島蓮(23歳) ハウスキーパー
  • 海堀心華(19歳) ハウスキーパー見習い


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