女二十一人の集団リンチ(3)

三章

 「警察は、遅いわね・・・・・・そうだ、警察が来る前に、わたしたちで簡単な取り調べをしようか」
 主婦の水谷綾子が言った。

 「そうだわ!そういえば、この男が盗んだ下着を、まず確認する必要があるわ」
 水谷綾子の娘、早紀(11歳)が言った。
 生意気な彼女は、小学校5年生か6年生くらいで、もう胸が丸くふくらんで見えた。

 「それは、ちょっとまずいんじゃないかしら」
 主婦の飯尾絵美子が首をかしげた。

 「なに、かまうことないわよ。コインランドリーの中で済ませばいいんだし・・・・・・」

 二人の意見が分かれたので、スーパーの女課長、杉浦咲子の判断に、全員が注目した。

 「・・・・・・そうね。盗んでいる下着を調べるぐらい、いいんじゃないかしら」
 杉浦咲子が言うと、女たち全員がその気になった。

 「じゃ、まず下着を出してもらいましょうか」
 水谷綾子が腕組みして、そう命じた。

 「ほら、早く出しなさい」
 水谷早紀が、母親と同じポーズで俺をにらみつけて、言った。

 俺は盗んだ下着をGパンのポケットに隠していたが、それを出したときの女たちの反応 を恐れて、モジモジとしていた。
 すると、いきなり水谷綾子が、俺の頬を張りとばした。ぱぁあん!というすごい音がして、 思わず俺は顔面をかかえこんだ。

 な、なにするんだ!いきなり・・・・・・。

 俺が抗議するために顔を上げると、そこを狙いすましたように、もう一度、ぱぁん!!
 さらに、小学生の水谷早紀が、母親にならって撲とうとしたので、俺はたまらず彼女の 細い腕をつかみ、立ち上がった。

 「ちょっと!女の子に乱暴したら、許さないからね」
 秦野麻里が俺の腕をつかんだ。
 他の女たちも、俺が暴れたりしないように、包囲する輪をせばめてきた。

 「もう!放してよ」
 水谷早紀がそう言って、俺の手をはじいた。
 俺は、生意気な彼女をひねりつぶしてやりたいと思ったが、そんなことができるはずもなかった。

 「ほら、いいから出しなさいよ」
 秦野麻里が、俺の胸ぐらをつかみ、コインランドリーの壁に押しつけた。
 彼女は綺麗な顔をしているが、あまり化粧っ気がなく、こうして詰め寄られると、スポーツ・ ウーマンらしい迫力に満ちていた。

 「出しなさい。出さないと、身体検査するわよ」
 彼女のその一言で、ついに俺は観念した。

 俺は青ざめた顔で三枚の濡れた下着を出し、秦野麻里に手渡した。
 秦野麻里はそれを受け取ると、顔をしかめて、他の女たちをふり返る。
 下着の持ち主である、主婦の並木瑞恵が、歩み出て下着を確認した。

 俺が盗んでいたのは、おとなしい雰囲気の彼女には似合わない、セクシーな黒いパンティとブラジャー。それに、一目で小学生の娘のものと分かる、白いパンツである。
 小学生の並木美穂が、盗まれた下着の中に、自分のパンツがあることを知って、ショックのせいか、泣きだしてしまった。

 女たち全員の視線が、さらに一段と厳しいものになって、俺の全身をつらぬいた。
 秦野麻里がいつまでも俺をにらんだまま、そばを離れようとしないので、俺は小さな声で、
 もう持ってません。それだけです、盗んだのは・・・・・・。
 と、言った。

 「本当にこれだけ?」
 「他にもまだ隠してるんじゃないの」
 「ちゃんと調べた方がいいわ」
 何人かの女が、口々にそんなことを言いあった。

 「盗まれた下着は、これだけですか」
 スーパーマーケットの責任者である、杉浦咲子がたずねた。

 「え、ええ、たぶん・・・・・・」
 並木瑞恵は、あまりはっきりと物を言えない性格らしく、そのまま口ごもってしまった。

 「念のため、身体検査はした方がいいんじゃない」
 水谷綾子が言った。
 「まさか、女物の下着なんて、身に着けていたりしないわよね」
 攻撃的な性格の彼女は、眉をつり上げて、そんなことを言った。

 ふっ、ふざけるな・・・・・・!もう持ってないって、言ってるだろ。信じてくれよ。

 「どうだか。分からないわね」
 「なによ、その口のきき方」
 水谷綾子と、秦野麻里の二人が、それぞれ俺の肩に手をかけて、言った。

 「ちょっと、みなさん手を貸して下さい。この男の身体検査をするのです」
 秦野麻里が言い、さらに数人の女が、俺の身体の端々を手でつかんだ。

 「脱がすわよ」
 と、秦野麻里が宣告した。

 水谷綾子と、早紀の母娘が、さっそく俺の上半身を脱がしはじめた。

 よせ!やめろ、わ、分かった。自分で脱ぐよ!

 俺はせいいっぱいの虚勢を張って、女たちをにらみ返しながら、自分でシャツのボタンを外した。

 水谷綾子が、シャツをむしり取って女課長の杉浦咲子に手渡した。
 「さ、次はズボンね。Gパンのベルトを外して、こっちへよこしなさい」

 「その前に、下着のシャツも脱ぐのよ」
 そう言って、秦野麻里が、俺の白いランニング・シャツを指さした。

 どうして?そんなに脱がなくても、分かるだろう。

 「いいから脱ぎなさい。わたしたちの言ったことに逆らえる身分じゃないでしょ」

 これはもう、ほとんどイジメだと俺は思った。だが、彼女が言うように逆らえる立場ではなく、俺はしぶしぶ下着のシャツを脱ぎ捨てた。

 水谷綾子と秦野麻里が、俺のジーンズに手をのばした。

 よせ!いいよ、自分で脱ぐから。おい、やめろ!

 「あんたがのろまだから手伝ってやるんだよ」
 水谷綾子が言った。

 「ほら、ママたちが押さえてるから、早紀、あんた早く脱がしちゃいな」

 い、イヤだ!

 「なによ、いい年して、恥ずかしがらなくていいじゃない」
  小学生の水谷早紀が言った。
 「ちょっと、暴れないで!」

 俺は抵抗したが、結局逆らうことができずに、水谷早紀がベルトを外し、チャックを下ろすのにまかせた。

 「ふーん、どうやら女物のパンツははいてないみたいね」
 秦野麻里が言った。

 「当たり前よ。もしそんなだったら、タダじゃおかないから」
 水谷綾子が言って、俺の下半身に手をのばした。
 「さ、最後の一枚も、一応確認のために脱いでもらうかな」

 よ、よせっ!!
 彼女の言葉に反応して、俺が大袈裟に身をよじったので、女たちの多くが失笑した。

 「あはは冗談よ。そんなに悲鳴を上げなくたって、いいじゃない」
 そう言って、水谷綾子は笑いながら、俺の尻を叩いた。

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